いい曲とは何か?初めて聴いた音楽をいい曲と断言することができるのか?

初めてピカソの絵を見たとき何も感動することはなかった。小学校の時に教科書に載っていたそれは全く理解の範疇を超えていた。大学の時に初めてピカソの絵を生で見る機会があった。私はそのときピカソの絵からほかからは感じられない独創性とパワーを感じ、世界から認められている理由を少し理解することができた。

私は音楽が好きだ。

私の周りにはよく一曲フルで聞いてもいないのにすぐいい曲だと断言する人がいる。しかしその人たちは本当にいい曲を見抜いているのだろうか。

「私の周りの人」と書いたが私自身にも思い当たる節がある。CMで少し聴いた曲、テレビで少し使われた曲をいい曲と思いCDを購入する。PCに取り込み数回聞くうちにすぐに飽きてしまう。音楽ソフトの再生回数を確認してみるとそういった経緯で購入した曲は数回しか再生されていないことが多い。

なぜこういった”飽き”がすぐきてしまうのだろうか。私は既存曲との照らし合わせに答えがあると思う。コンサートに行ったとき、知らない曲の演奏はすごく退屈だけれども、一度でも聴いた曲あるものはすごくテンションが上がる。つまり初めて聞いた曲なのにいい曲と思ってしまうのは”過去に聞いたいい曲”とどこかしら似ているからではないだろうか。

そういった似ている曲というのは一回目聞いたときに、すごくすんなり耳に入ってくるのではないだろうか。しかし似ている曲というのはもちろん独創性がない。ゆえにすぐに飽きてしまう。あんなにいい曲と思って購入してもどこか物足りなさを感じてしまう。独創性のなさがそうしているのである。

逆にはじめは全くいい音楽と思っていなかったが、聞いているうちにすごく好きになってしまった曲はないだろうか。それは自分の音楽データベースにないものであるから、初めて聞くときには一種の拒否感を感じているのである。だがそこから得られることは真の意味での新曲ではないだろうか。

真に自分が愛せる曲というのはそういった拒否感のある音楽の中に隠れているのではないか。初聴きでいいと思った物はかならずしもいい曲でない。